次の文の主旨として、最も妥当なのはどれか。
違う意見の持ち主同士が話しあって、その一回きりの話でどちらが正しくどちらが誤りであるかの共通の見解に達しなければならないと力んでしまえば、無理が生じて当り前というものである。
結局のところ、話しあうということは、どちらが引いて相手に勝ちを譲るかを、腕力暴力で決めるものでなく、ことばによって勝つか負けるかを決することだとみなされがちである。
いくらうわべで見解の一致をみても、議論に負けた側にしてみれば、不満が残る。
よく話しあえた、という思いが、どちらの心にも快く残るということは、まずあり得ないということになる。人間同士は結局のところ話しあえないものだといういらだちの本質は、一般的にそこにある。
まず、話しあうということは、勝敗を決するということではない、という理解がいる。勝つか負けるかを決するのではなくて、双方を生かしあうことだという基本理解がいるのである。
双方を生かしあうということは、とりもなおさず、双方がなにを優先順位の第一番とするかについての共通の見解が成立するということである。
優先順位の第一番だと共通に理解できるものは、ほんの爪の先ほどのちっぽけなものでしかないのかもしれない。でもそれさえあれば、互いに人間である以上、相互の理解はやがて必ず広がり深まらずにはいないのだと思う。
(伊藤友宣「話しあえない親子たち」による)
- 違う意見の持ち主同士が、一回きりの話で共通の見解に達しなければならないと力んでしまえば、無理が生じて当り前である。
- 話しあうことは、ことばによって勝つか負けるかを決することだとみなされがちである。
- 人間同士は話しあえないといういらだちの本質は、議論に負けた側に不満が残るからである。
- 話しあうことは、双方を生かしあうという基本理解が必要であり、双方がなにを優先順位の第一番とするかの共通の見解が成立することである。
- 双方が優先順位の第一番だと共通に理解できるものは、ほんの爪の先ほどのちっぽけなものでしかない。
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正答 4
解説
1.の場合第1段落に述べられている内容であるが、話しあいという事柄が持つ一般的な性質について述べられたものであり、筆者の主張ではないので誤り。
2.第2段落で述べられている内容であるが、これも1同様、話しあいという事柄が持つ一般的な性質について述べたものであるので誤り。
3.第3・4段落で述べられている内容であるが、これも1・2と同様に,話しあいという事柄の持つ一般的性質であって誤り。
4.正しい。第5・6段落で述べられている筆者の主張である。
5.第7段落で述べられているが、本文では「双方が優先順位の第一番だと共通に理解できるもの」は、「ほんの爪の先ほどのちっぽけなもの」であってもそれさえあれば相互理解は深まる、積極的な価値を与えているものなので「〜なものでしかない」という表現は誤りである。
出典 実務教育出版「高卒程度公務員 完全攻略問題集」より
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