今回私のブログで体験談を話してくれる方のプロフィール
・20代前半 男性 Mさん
・身体障害者手帳(聴覚)
・某大手企業入社→退社
20代前半の素直な気持ちを書いてもらいました。
「私と同じ失敗をしてほしくないという思いでこの度執筆致しました。」
という応援メッセージになっています。
ブログ運営者の思いはこちら↓
実体験は貴重。障害を持っている人がどうして障害者雇用を選んだのか、実際働いてみてどうだったのか、どんな配慮がされているのか情報共有ができる。
— ひかる@今週もサボって生きよう (@donburo_hikaru) April 4, 2021
障害者が生きていくための情報、みんなのがんばりが反映されるのが体験談。
だからこれからもみんなの体験談をブログに載せていこうと思ってる。
障害者雇用の求人に中途採用で入社した【光と影】
2017年11月、私は関西の方なら誰もが知っているであろう、大手鉄道会社に障害者雇用枠で転職・入社しました。
初めて一つの「会社」という別の枠組みの中に入りましたので、期待はもちろん不安もありました。
私は聴覚障害を抱えていて、耳が不自由です。
日常生活では補聴器が手放せません。
就職・転職活動をしていた時、
「配慮はちゃんとしてもらえるのだろうか。理解して頂いた上で周囲は接してくれるのだろうか。」
と、聴覚障害を持っているので不安でした。
しかし不安は運悪く現実となり、入社して半年も経たないうちに内に退職せざるを得ない状況にまでなってしまいました。
当時経験した出来事に対し、
就職したいと願う障害を持つ方々に私と同じ失敗をしてほしくない
という思いでこの度執筆致しました。
なぜ私の転職活動が失敗してしまい、退職という決断をせざるを得なくなってしまったのかについて書きます。
障害者雇用で入社すれば必ず合理的配慮されるわけではない
「障害者雇用で入社するので、必ず配慮はしてもらえる」
という甘い認識を持っていたことが退職につながってしまいました。
当時私自身の社会人経験が浅く、物事を吟味する力は乏しかったです。
運悪く配属先の先輩及び上司が、障害者を毛嫌いしていた方であり、
聴覚障害に対して全く配慮して頂けませんでした。
聴覚障害者として障害者雇用で入社したのに
配慮してもらえなかった具体的な体験談として
①説明が聞き取れない上に分かりにくかった為、何度も分かるまで聞き直そうとしましたが、
「何回も同じこと言うの嫌やし」とその場を去られました。
②聞き取りにくいことを良いことに、初めて聞いた内容にも関わらず、
「さっき言うたやろ」と言われたことが何十回もありました。
以上のようなことが毎日あり、担当者の変更や異動の要請等、
改善を求める為に直属の上司に申し出ましたが何も進展は得られませんでした。
「このままでは自分が壊れる」
そう確信し、やむを得ず退職を決意しました。
障害者雇用で失敗しないためのアドバイス
私のように就職及び転職活動において会社選びを失敗しないよう、必ず行ってほしいことが2つあります。
1つ目は、職場見学をさせて頂く旨を面接時にお願いすることです。
どのような人が働いているのか、どのような配慮を行っているのか働いているイメージをする為です。
もし採用担当者から「不可能です」と言われた場合迷わず内定は辞退しましょう。
コンプライアンス上の問題ではない、何か見られてはマズイ事情があることは確かです。
2つ目は、自分が配属されるであろう部署をしっかり理解することです。
職場見学で知り得なかった情報を明確にし、
内定承諾可否の最終判断の材料の一つにします。
「なぜこの部署、課に配属予定なのか」
「過去にこの部署から何人退職者が出て、退職理由は何か」等
しつこいと思われる程質問してください。
部長、直属の先輩になるであろう方に聞くことがベストです。
採用担当者が知らない裏の一面が見えてきます。
ヒアリング結果を家に持ち帰り、内容を何度も振り返り最終的な決断をして下さい。
以上2点を行うことで「失敗しない障害者雇用」を実現することが出来ます。
聴覚障害を持つ私が配慮してほしかったたった3つの合理的配慮
当時の私が私自身の障害に対する配慮について希望していたのはたったの3つです。
この3つの配慮があれば私の力を思う存分に発揮し頑張れたのに!という気持ちをお話しします。
無理な合理的配慮は言っていないのに
一つ目は電話応対を100%しなくても良いという環境を作って頂きたかったということです。
私は聴覚障害者なので電話応対がかなり難しいです。
その分資料作成や伝票整理といった事務処理を人一倍こなすことで差を埋めようとしていましたが、
電話対応を任されていました。
全く聞こえないわけではありませんが、無理難題です。
二つ目は聞き取ることが出来ない場合、筆談をお願いしたかったということです。
直接会話において、聞き間違い及び聞き逃しを避ける為にお願いしました。
口を見ることでおおよそわかりますが、筆談してもらえれば100%理解出来ました。
三つ目は社内外の研修やプレゼン発表などに参加する場合、議事録を頂きたかったということです。
学ぶべき内容が聞き取れない分、目で見て理解できるように配慮がほしかったということです。
結果、配慮を全くして頂けなかった為頼まれた業務をこなすことができず失敗ばかりしてしましいました。
障害者雇用の面接で配慮してもらいたいことを伝えたのに
私は補聴器をかけて日常生活をしていると言えど、健常者と同じく話すことができ、電話も僅かながら聞き取ることが可能です。
友達や知り合いとのやり取りであれば私の障害を理解して頂けている為、聞き取ることが出来るまで何度も話してくれます。
仕事上でのやり取りの場合、
「聞き取れなかった」
「聞き逃してしまった」
は支障をきたす可能性があり、会社に損害を出すおそれもあります。
最悪の事態を避ける為にも、面接時に電話応対の配慮をお願いしました。
しかし、配属された部署はお客様とのやり取りが頻繁にある部署の為、電話対応が必須でした。
電話にでなければならない圧力を強く受け、受話器を取らざるを得ず、、、会社専用の電話を所持するという状態になりました。
似たような発音を聞き間違えることが多く(例:「カラの容器」と「サラの容器」)、時と場合によってお願いしなければならない状態でした。
そんな状況にも関わらず、業務が忙しいから筆談をする暇がないと一蹴されてしまい人の態度や状況を見て分からないのに返事を頻繁にしていました。
自身が配慮される側なのに会社の実態に合わせてしまったのは大失敗でした。
結果、聞き間違いや聞き取れないことによって失敗を多発し、内外を問わずお叱りを頻繁に受けました。
議事録につきまして情報の大半が口頭のみで伝えられた場合が多く、聞き取りにくくて議題や会話に付いていくことができませんでした。
私の為に座席を司会者の傍にして頂けるということはありましたが、聞くという行為自体は変わらない為、聞き取れる範囲に限界があります。
結局、「ただ参加しただけ」という非常に勿体ない時間を過ごしたことが何度もありました。
一番伝えたい内容だけでも議事録として頂ければ聞こえなかった箇所を目で見て理解でき業務に活かすことができたのに!と今は思います。
期待しすぎた障害者雇用
電話応対の配慮と筆談と議事録の配布。
たった3つの配慮があれば、障害の有無を気にすることなく働くことが出来た
と月日が経った今でも感じております。
「働」という言葉は、「人」を想って「動く」。
かつて私がお世話になりました人生の先輩から教わった言葉です。
障害の有無を問わず、配慮は何かしら必要である方はたくさんおられます。
お互いを思いやり、お互いに足りないものをフォローしあってこそ、
本当の意味での職場が形成され、会社が形成される。
綺麗事に聞こえてしまいますが、会社が障害者を受け入れる為に必要な方針の一つではないかと私は考えております。
障害者雇用で働く方へ
障害の配慮をして頂けない職場にスタート地点を定めてしまうと、早期退職という最悪のゴールに到着してしまいます。
会社を見て、人を見て、ここなら障害に対する配慮をしっかりしてくれる!
と確信を得られる会社を自らの手で見つけ出して下さい。
周囲の配慮により、障害者が障害を気にせず腕を磨き、
活躍できる職場と巡り合うという最高のゴールに到着できればと心から強く願っております。
以上です。
私のブログでは精神障害者の皆さんの体験談をお待ちしております。
あなたの頑張った経験は誰かの勇気になります。
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