日本人が死亡する病気としてダントツ上位を占めているガン。
この癌は「1日3杯~4杯くらいのコーヒー・緑茶を飲む人は癌にかかりにくい」という統計データを国立がん研究所と東大の研究チームが発表したのは2015年。
たかが統計調査と思うかもしれませんが、この研究チームの統計の取り方は非常に緻密で、1990年から40~60代の9万人ものアンケート対象者を20年もの追跡調査を行なったデータなのです。メカニズム解明にまでは至っていなくても、かなり信用度が高そうですよね。
そこで、この国立案研究所の研究データをもとに、癌と睡眠時間と性格による思考パターンについて、この記事では解説していきます。
1.睡眠時間が長いと死亡リスクが高まる?
(1)国立がん研究センターの調査結果は参考程度に
「コーヒーや緑茶が、癌や脳卒中を起こしにくい」という統計データを国立がん研究センターは2015年に発表しました。
このときの発表によると、コーヒーはクロロゲン酸、緑茶はカテキン酸の効果が癌や心筋梗塞を予防しいたのではないかという推論に達したのだそうです。
但し、免疫学調査データの研究結果から、「これらの成分をサプリメントで摂取していれば良いと誤解しないように」とも、注意喚起をしています。
統計から出た推論であり、明確なメカニズムがわかっているわけではないのです。
人の身体は、まだまだ医学で解明できない未知な部分が多いので、
「健康な体はバランスの良い食生活によって、そのメカニズムが支えられている」
という事実が一番大切で、健康に導く結論なのです。
だから、一定のサプリメントだけ摂取して偏って食生活をした結果、癌にはならなかったとしても他の病気が発生して寿命を縮めてしまうことも否めないのです。
それに、「必須アミノ酸は、9種類全部をバランス良く摂取することではじめてその効果を最大限に受容できる」ということを頭の片隅に入れておきましょう。
(2)男女別睡眠時間と死亡リスクの関係
国立がん研究センターの20年異常に及ぶ追跡調査付生活アンケート調査を
「多目的コホート研究」
といいます。その統計結果をまとめると、常識を覆されるような感じです。
アンケート対象者は、1990年時点で、
・東京都葛飾区(2019年の呼称)11保健所管轄在住の男女40~69歳までの方
・約10万人(男性46152人、女性53708人 合計99860人)です。
・調査期間は1990~2014年までの24年間です。
そして、24年の追跡調査で癌にかかった人、ガンで死亡した人、その各々の睡眠時間、年齢と趣向、ストレス度、生活習慣まで細かくアンケート調査しています。
アンケートの集計結果によると、男女とも、10時間以上もの長時間睡眠をとっていると答えた人は、年齢層が高く、余暇や運動の頻度が高いアクティブなご年配層だということです。また、コーヒーも飲む習慣が少なく、余暇も運動もたくさんしているのに、ストレスを感じることが多いのだそうです。
一方、睡眠時間5時間未満だと答えた睡眠をあまり取れていなさそうな人達は、男性はひとり暮らしで肥満傾向にあるけれども、喫煙・飲酒習慣のない健康的な生活を送っている人。
女性は、現在・過去に喫煙習慣はあるものの飲酒習慣はなく、健康診断も欠かさない健康志向が強い女性でした。そして男女ともストレスを多く感じている人達でした。
なんと、睡眠時間は長すぎても短すぎても、どちらのグループに属する人も健康志向が高いのに、ストレスが多いという結果なのです。しかも、10時間以上睡眠はアクティブご年配層が多いのです。
年齢を重ねると、睡眠時間が短くなる傾向にあるという常識を覆しました。
10時間以上眠っているということは、睡眠に気を遣ってしっかり睡眠時間をとり、しかも運動も趣味も充実したアクティブ高齢者です。10時間もの睡眠をとるために、医師に相談して医薬品に頼ったり、睡眠に特化したサプリメントや漢方に頼っているかもしれません。どちらにしても、非常にきめ細やかに健康に気を遣っているにも拘らず、死亡率が高いなんて、どういうことなのでしょうか?ご年配といっても60代は、今の時代まだまだ現役だからです。
それはともかく、アンケートデータに戻ります。
平均睡眠時間は男性7.4時間、女性7.1時間。
7時間睡眠を基準にすると、男性は10時間睡眠の人は循環器系の病気で死亡する人が多く、5時間未満の人が癌で死亡するリスクが高いということがわかります。
女性も男性と同じく、10時間以上睡眠は循環器系も癌も死亡率が高いことがわかります。
男女とも、長時間睡眠で循環器系の病気で死亡する人が多いのは、長時間睡眠時に不整脈や無呼吸になってしまう傾向が高いからではないかと推察されているようです。
また、2019年時点で現在60代を迎えている女性は、戦後に幼少期を迎え、女性が家事をするという常識で育った人も多く、若い頃から朝早く起きて家事をして、そういう生活に慣れ親しんでいるからでしょうか。それに、専業主婦率も今に比べてずっと高い時代なので、男性に比べて忙しくてもストレスは少なく、短時間睡眠でも良質な睡眠がとれている人が多かったのかもしれません。その影響かどうかわかりませんが、7時間睡眠よりも5時間睡眠の人の方が死亡率は低かったりします。
一方、男性は、5時間睡眠の全体の癌も循環器系も7時間睡眠に比べて死亡率が高いようです。筆者の個人的見解ですが、男性の5時間睡眠は、睡眠の質が悪いままの短時間睡眠で、その結果、体に疲労が蓄積されて死亡率を高めているのかもしれません。
だとすると、イクメンが流行る現代の男女平等の時代に同じ調査を今から始めたら、女性も5時間未満でも死亡率が高まるかも?しれませんね。
(3)短時間睡眠は太る?
でも、短時間睡眠が良いわけではありません。
短時間睡眠の場合、食欲を抑制するレプチンというホルモンの分泌が低下するので、その結果食欲が増して太るというわけです。
短時間睡眠は、腸内の整備が追いつかないのか、便秘等で腸内環境悪化を引き起こしやすくなります。腸内環境悪化で体内のデトックスが上手くいかなければ、内臓機能が低下して代謝もダウンします。食欲は旺盛になるのに、代謝はダウン。しかも年齢的に40代から代謝酵素も減少していき、一層代謝ダウンに拍車がかかって、ますます太りやすい体になるのです。
「体重は変わらないのに体型が変わった?それはメタボかも!?」という言葉を聞いたことはありませんか?40代からはこの言葉を気にしないといけない年齢なのです。
そんな年代に、体のメンテナンスを行なう睡眠時間が少ないというのは、太る体質になりやすくなっても仕方が無いのかもしれませんね。
(4)長時間睡眠の人は持病を持っている人も多い
アンケートでは、長時間睡眠の人は持病を持っている人も多いことがわかりました。10時間睡眠と回答した人達は年齢層の高い人が多いので、年齢を重ねるうちに持病を持つようになるというものです。「健康寿命を全うするために睡眠を!」とがんばった結果かもしれません。
しかし、その頑張りが逆効果になっているのです。
長時間睡眠によって、循環器系の疾病による死亡が2~3倍にも増加するということは、長時間睡眠が持病の悪化を引き起こしやすい体にしてしまっているともいえます。考えられるのは、睡眠中の無呼吸や不整脈によって、心機能に負担をかけてしまったのかも?
2.短時間睡眠・長時間睡眠の人はストレスが多いのはなぜ?~データからの検証~
先の国立がん研究センターの睡眠時間と死亡率の関係の研究結果で、5時間未満の短時間睡眠の人も10時間以上の長時間睡眠の人も、ストレス過多の生活を送っていることがわかっています。そして死亡率も高い。
一般的に、ストレスが多いと死亡率が高いともいわれています。
これが都市伝説でないことを、国立がん研究センターの多目的コホート研究に使われる追跡アンケートで証明されました。
(1)性格(思考パターン)別のストレスの量
ストレスが多いという事は、ストレスホルモンがたくさん分泌され、体に悪影響を与えます。そうならないために、セロトニンがストレスホルモンと合体して、ストレスホルモンを中和して無害にしてしまいるのです。こうして、昼間にセロトニンがたくさんストレス解消に使われ、夜のメラトニン不足に陥りやすくなって、睡眠に悪影響を与え、短時間睡眠になってしまうわけです。
しかし、長時間睡眠の人もストレスが多いのは何故でしょう。
国立がん研究センターは、多目的コホート研究のアンケートで、性格(思考パターン)を次の2つに分けました。
“①問題を積極的に対処する性格”と、
“②反省したり願ったり現実逃避をするばかりで、行動力の無い性格”です。
国立がん研究センターは、①②の性格を次のように細かく解説しています。
・対処型行動(物事が起きてから行動をとる)として
・解決する計画を立て、実行する
・誰かに相談する
・状況のプラス面を見つけ出す努力をする
・逃避型行動(現実逃避をするものの臆病だから用心もする)として
・変えることができたらと空想したり願う
・自分を責め、非難する
・そのことを避けてほかのことをする
【引用元】「日常経験する問題や出来事に対する対処の仕方とがん罹患及び死亡との関連について|国立研究開発法人 国立がん研究センター 社会と健康研究センター 予防研究グループ
そして、①と②の組み合わせで人の性格を4つに分けました。
(※→以降は筆者の解釈)
・①と②両方なし
→(何も考えていない)→ノーストレス
・①のみ
→(物事が起こってから考える)→ストレス少なめ
・②のみ
→(用心深く石橋を叩いて渡らないような性格)→ストレス多め
・①と②両方あり
→(用心深く、積極的に行動する性格)→ストレス過多
“①②なし”だと、何も考えないので、普段からノーストレスかもしれませんが、年齢を重ねて睡眠に悪影響を与える生活になっても、何もしないので、寿命を縮め安いともいえます。
“①のみ”だと、物事が起こってから対処するので、解決力が高いので、年齢や老化を受け入れやすく、病気になったら対処するスタンスで、ストレスは低い。
“②のみ”の石橋を叩いて渡らない人は、心配性でも何も解決できないので、ストレスが多く、睡眠にも悪影響を及ぼすかもしれませんが、現実逃避には知ることもできるので、ストレスは多くても自分を追い込みにくい傾向にあります。
“①と②両方”は、石橋を叩くほど用心深くそして、石橋である事を確認して(問題解決をして)石橋を渡ることができるので、ストレスが生じても問題解決によって、ストレスが解消できるかに見えます。しかし、常に用心して、万全を尽くしすぎて、現実逃避もないので、スト列す過多になって自分を追い込みやすい性格ともいえます。
心の病になりやすいタイプかもしれません。常にストレス過多タイプです。
老化等のどうにもできないことについては、現実を受け入れにくく、用心しすぎて、こういう人が、健康のために睡眠時間も長くなりすぎて、却ってガンにかかりやすい体質になってしまうタイプともいえます。年齢を重ねるに従って、自分では解決できない体の問題で、一層ストレス過多になりやすいといえます。
アクティブなご年配層として充実した生活を送っているように見えて、思うように行かない人生に、一番大きなストレスを抱えているのかもしれません。10時間睡眠の人が、ストレスが多いのは、このためではないかと推察されます。年齢を重ねても潔癖すぎて甘えられず、プライドも高く、現役時代を懐かしみ、思うようにいかない人も多いのです。
とにかく、このタイプは、常にストレス過多状態になり安いでしょう。
(2)性格別によるストレスとガンの関係
この①②両方を抱える性格の10時間睡眠が癌になりやすいことを証明したアンケートを解説していきます。
下の図1から図4までの4つの図は、国立がん研究センターの下記の研究結果から引用しています。
逃避型”は、逃避行動だけではなく、願ったり反省したりする性格なので、逃避型のみの人は、用心深いのか、逃避型の思考をしない対処型行動だけをする人よりも死亡リスクが低いことがわかります。臆病な人ほど危険な目に遭わないのかもしれません。
そのことから、対処型・逃避型両方の行動パターンをとる人は一番死亡率が高いのです。
言い換えると、「普段は臆病だけど、いざとなったら行動力がある人」が、一番死亡リスクが低いといえます。
癌という病気は、その人の性格を選びません。癌は遺伝性もある病気です。だから性格別に羅漢率はそんなに大きな差はありません。
逃避型が、羅漢立が一番低いのは、臆病な人は用心深いともいえます。癌は遺伝性が高いので、そのために対処型なら検診を受けます。検診を受けたら、初期段階の癌を発見でき、羅漢率は何もしない人よりも上がるかもしれませんが、早期発見なので、死亡率は下がります。
局所性癌羅漢とは、転位のない癌、つまり早期発見の癌のことです。
癌は遺伝性の病気なので、何も行動しない人よりも、癌家計だと用心する人の方が初期のガンを発見します。だから、対処型行動なしよりも対処型の方が羅漢率は高く、逃避型では、現実逃避しがちとはいえ、用心深く臆病なので、こちらも健診による早期発見がみられます。
そして、臆病で建設的なプラス思考をする人は、健康的な生活をする努力をしているのか、癌も羅漢しにくいようです。
対処型でも逃避型でも無い人は、普段から何も考えていないので、そういう人を基準に考えると、プラス思考のみの行動力のある人は、癌健診受診率も高く癌発見率が高いようです。だから、図3からも初期の段階で癌が発見されるようです。
逃避型の人は、臆病なので、癌家系だとしても、癌検診を積極的に受診しません。でも、癌検診を積極的に受診して用心深く生活をしている人は、そもそも癌になりにくいので、健診受診率が高くても癌羅漢率も低いといえるのかもしれません。
【結論】ストレスの少ない思考で安眠と幸せな健康寿命を!
性格(思考パターン)によって、ストレスを囲い込みやすいことがわかりました。ストレスによって、睡眠に悪影響を与え、それによって循環器系の病気や癌によって寿命を縮めることもわかりました。
とはいえ、もう今さら性格を変えられない、と思う人も多いでしょう。
そういう人も、とにかく自分を見つめ直し、良いところも悪いところも認めて、自分を好きになってください。「~あるべき」という決まりはないのです。
大切な事は、他人を思いやる想像力とそれを実行する勇気です。
自分を認めると同時に、相手を認める勇気も必要です。意見が違っても、そういった考え方もあるのかと認識し、その一音考え方を取り敢えず理解してあげる優しさを持ちましょう。
そうすると、沢山の問題が解決するかもしれません。
悩みも半減するかもしれません。反省したり願ったりすることも大事ですが、どうにもならないことは、ちょっと現実逃避して、とにかく良質な睡眠をとってみましょう。
「明日は明日の風が吹く」というように、一晩寝たら、あるいは昼寝したら、記憶の整理ができて、寝る前に気がつかなかったヒントに気づいて、ふっと風が吹いたように良い案が浮かぶかもしれません。そんな時は、幸運の女神が通り過ぎた時なのかもしれません。
【参考】:
※「コーヒーに健康効果」の裏側 疫学、病気予防に生かす(2015/6/30)|Nヘルスアップ 病気・医療
※「日常経験する問題や出来事に対する対処の仕方とがん罹患及び死亡との関連について|国立研究開発法人 国立がん研究センター 社会と健康研究センター 予防研究グループ