生活保護

生活保護の実態とは?!社会福祉で働く視線から見た、生活保護の実態と今後の社会福祉に求められるもの

2016-10-19

生活保護と社会福祉についてよせられたコラムです。二人の方に意見を寄せてもらいました。ぼく自身が生活保護を受給した過去があることは伏せて意見を出していただいたのですが…。

どこか他人事のように聞こえてしまいます。(僕が卑屈なだけかな…。)

それでも生活保護について知ってくれようとしてくれてるだけでもありがたいです。

 

A・Oさん(30代男性、元障がい者施設職員)の意見

生活保護は現在大きく日本の経済に影響しています。生活保護とは一体どういうものなのか。それは、生活になんらかの困難がある人が、国からの救済で「生活保護」というお金での援助を受けられるというものです。生活費の援助だけでなく、医療費の控除もあり、実質働かなくても、人間としての最低限の生活が送ることができるというわけです。
そんな、生活保護の問題ついてテレビでも良く取り上げられますが、最近では

「有名芸能人の身内が生活保護を受けたままであった」

「亡くなったはずの方の生活保護をそのまま遺族が受給し続けていた」

などの、生活保護に関する事件は増えています。
そんな、生活保護と関わりが深い社会福祉。社会福祉には様々な機関がありますが、社会福祉で働く人は生活保護という言葉を聞いたことがない人はいないであろうと思います。
社会福祉の機関で働く人は、お年寄りのための施設、障害を持った方の施設の員や、生活保護申請を担当する役所の職員と様々ですが、社会福祉に関わる人たちが普段からなにげなく感じている、または経験した生活保護の実態問題に迫ってみたいと思います。

私が働いたのは社会福祉の中でも障害福祉にあたるものです。A型就労支援という施設なのですが、こちらは障害を持った方たちが社会復帰、または社会で活躍できるようにサポートする施設となっています。
その施設に通う人は、将来的に就職ができる可能性の高い人が集まります。しかし、まだまだ訓練が必要だと判断された場合にはB型就労支援施設になります。
A型就労からB型就労支援に移行したり、B型就労支援からA型就労支援に移行したり、支援が必要な方の持っている能力次第で変更ができます。

A型就労支援には自閉症・または自閉傾向にある人、精神病(鬱など)、知的障害、聴覚・視力障害、などの障害が挙げられます。(この限りではもちろんありません)
生活保護を受けながら働いている方が多くいます。
しかし、なかには生活保護が受けられない、または自分の障害を受け入れられずに必要ではあるのに生活保護受給を申請しない方もいました。そんな、方たちをサポートしていく仕事でした。

 

実際に、施設利用者の半数は生活保護の受給を受けていました。

生活能力がないとみなされているわけですから、仕方がありません。しかし、実際のところは、帰れる家があるのに帰らずに、一人暮らしをすることで受給する方も多く居ました。日本の経済を考えると、本当ならば帰れる場所があるならそこで支えあってほしいものですが、家庭環境が悪い方が多かったので困難でありました。
A型就労支援で特に支援するのは就職活動です。もちろん、就職が決まれば、生活保護は減額になるか、無しになるでしょう。生活保護があるがために、働いて稼ぐ金額と生活保護を受けた場合の金額に差が出ることが多いため、就職をしぶる方がいました。
生活保護は必要な方へ進めるものですが、受給だけでなく、どう抜け出すかを支援するのも社会福祉で働く意義だと感じました。
社会福祉の機関で、障害者ではない健常者の生活保護に携わっていた方がいました。その方の話では、本当に困っている人には生活保護の申請がなかなか通らない傾向にあるそうです。
受給している方の中には、生活保護を受けているにも関わらず、子どもが増える一方。しかし、親は働かない。働くことを進めても採用されなかったと結果が返ってくる。障害を持っていながらも働く人がいる一方で…。

就職を支援するサポートも必要ですが、本当に生活保護が必要なのか、実態を調査し、就労能力のある方へ就労支援をするサポートを社会福祉機関を増やすべきではないかと思います。

 

M・Nさん(30代女性 社会福祉経験者)

生活保護というのは、困った時にただお金をもらえるだけの制度ではなく、お金により生活保護から自立する為の手助けの制度

 

生活保護受給者が年々増えている事が何かとニュースなどでも話題になります。また、まじめに生涯にわたって働き続けてきちんと年金も納めた人が、生活保護受給者よりも手にする年金の額が低いこともクローズアップされることが良くあります。生活保護を受給していること自体がまるで悪いことのような印象を受けるような文章を目にすると、この人はこの制度を本当のわかって書いているのだろうかと疑問に感じるものが少なくありません。生活保護は困った時にただでお金をもらえるお得な制度…生活保護を受給している人は働く気もない怠け者、そんな誤った印象を植え付けかねない意見も、雑誌やインターネットなどにあふれかえっている現状を見ると、この国の持つ弱者への眼差しはいったいどうなっているのかと強い不安に駆られる気持ちにさせられます。インターネットにあふれる情報は玉石混交で、その匿名性によって稚拙で安直な考え方を誇張した表現でアピールする意見も少なくないのですが、それを見た人の何割かがその意見に賛同する可能性があるのだとしたら、やはりこれ見過ごせない問題なのではないかと思えてきます。生活保護受給者のお金にまつわる意見は余りにもひどいものが多く、特に影響が懸念されます。

困っている人が居たら、みんなで手助けをする。口で言うのは簡単だけれど、実際に行動に移すのは簡単なことではありません。特に生活保護を受給しなければ生きていくことも出来ないくらいに困窮する人にとって、支給されるお金は命をつなぎとめるための最後のセーフティーネットなのです。まじめに頑張って働き続けたけれど、突然仕事もすむところも失うという状況は今の日本でも誰にでも起こる可能性があるのです。生活保護でお金をもらっているというと、どうしても働かずにお金を得ているというイメージに繋がりやすいのですが、働けない状態の人は別ですが、若い年代で働ける人ならば生活保護を受給しながら自分で不安定ながらも精一杯に働いている人が私の知り合いにも大勢居ます。正社員になれず、いつ首を切られるかもしれない不安定な仕事を続けていつの間にか歳を重ねてしまった知人は、今では生活保護で支給されるお金と、空き缶拾いで得られるわずかな収入が生きるための全てです。彼が何か悪いことをしたわけでは絶対にないけれど、彼の未来に待っていたのは結局生活保護に頼る現在の生活だったわけで、それでも自分にできる範囲で一生懸命に空き缶を毎日毎日拾っては小銭を得て生活しています。

生活保護受給者の中には確かにけしからん様な暮らしをしている人がいるのだと思います。税金から生活保護によるお金を受け取っておきながら多くの人が働いている時間帯にパチンコ店で見かけたと福祉事務所に通報された人が居ました。生活保護で支給されたお金をパチンコに使っているとしたら、それは多くの人から反感を買うのも仕方がないかもしれません。でも、実際には彼はパチンコをするためにそこに居たわけではなく、灰皿を掃除するアルバイトをするためにそこに居たのです。にもかかわらず、こんな風に通報されてしまうことに矛盾を感じ、今は生活保護を受給せずにホームレスとして暮らしています。生活保護受給者の不届きな生活を見張ろうという試みがあるそうですが、不正受給は勿論許されることではないけれど、なんだか世の中がとても不寛容になっているのを強く感じてしまいます。生活保護は本当に必要な人にとって最後のセーフティーネットなのです。不正受給を見逃さないようにという風潮が強まる余り、そうしたある種の間違った正義感の目にさらされる事に耐えられず、本当に需給の必要な人に助けの手が届かない現状は本末転倒です。生活保護受給者は楽をしてお金をもらおうとする人では絶対にありません。一次的に生活保護を受給したとしても、ちゃんと自立して生活保護から抜け出してゆけるように手助けするための制度であるべきだと思います。

  • この記事を書いた人

ヒカル

37歳バイLGBT/元気そうな精神障害者3級/元障害者枠正規公務員。公務員採用試験は二つの自治体を一発合格しました、民間企業の障害者雇用、障害グレーゾーンを積極的に支援。障害者のため会社3年後に起業決まりました!! 相談、お仕事依頼は問い合わせもしくはTwitterDMにて。 YouTubeでも発信しています。 詳しいプロフィールはこちら

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